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◇「震災対応に全力」支援者とガンバロー三唱
10日投開票された統一地方選前半戦の知事選は、現職の高橋はるみ氏(57)=自民、公明道本部推薦=が、元農林水産省政策課企画官の木村俊昭氏(50)=民主、社民、国民新推薦▽共産党道常任委員の宮内聡氏(48)=共産推薦▽前道議会副議長の鰹谷忠氏(60)の3新人を寄せ付けなかった。政権交代に伴い、野党系知事として臨む初の選挙戦だったが、高い知名度を背景に順調に票を伸ばした。「道政奪還」を掲げた民主は、3回連続で自民に敗北した。一方、札幌市長選は、現職の上田文雄氏(62)=民主、社民、国民新、市民ネット推薦=が現職の強みを見せ、元総務省自治大学校研究部長の本間奈々氏(41)=自民推薦=に差を付けた。
高橋はるみ氏は午後8時20分ごろ、茶色のスーツ姿で札幌市中央区の選挙事務所に現れた。大きな拍手と歓声で迎えられた高橋氏は花束を受け取ると、伊東良孝・自民党道連会長ら道内選出の国会議員と笑顔で握手。支援者と拳を突き上げて「頑張ろう北海道、頑張ろう日本、頑張ろう高橋はるみ」とガンバロー三唱をしたが、東日本大震災の被災地に配慮して、万歳をするのは控えた。
高橋氏は「東日本大震災の中で改めて知事に選ばれ、うれしいというより、責任の重さに身が引き締まる思い」とあいさつ。「差し迫った震災対応に全力を投入したい。直接被害を受けた太平洋側の水産業の復旧に向けてしっかり取り組む。東北は北海道と縁が深く、できる限り支援していく」と話した。
高橋氏は3月11日の震災発生後、集会日程をなげうち津波被害を受けた道内の太平洋沿岸部を視察。告示後も補正予算案を提出するため臨時道議会に出席するなど、公務優先の姿勢を貫いた。疲労がたまり、中盤で体調を崩して3日間休養。道内全域で遊説する当初の計画を一部変更したものの、終盤は気力を振り絞って再び街頭へ繰り出し、支持を固めた。【和田浩幸、久野華代】
◇木村氏浸透せず、事務所重苦しい雰囲気
落選が確定的になると、木村俊昭氏の札幌市中央区にある事務所は重苦しい雰囲気が漂った。午後8時半ごろ姿を見せた木村氏は、陣営幹部や支援者と握手。「私自身の力不足。北海道を元気にしたいと思っていたので残念」と頭を下げた。
民主党道連や連合北海道の要請を受け、出馬表明したのは1月。3カ月足らずで離島を含む道内約170市町村を行脚し、地方重視の姿勢を強調した。
高橋道政を「借金だけ増やした」と批判。道民所得向上や医師不足解消を訴え、小樽市職員時代から培った地域活性化の手腕をアピールした。しかし、知名度不足は否めず、無党派層のみならず、民主党支持層にも十分浸透し切れなかった。【岸川弘明、円谷美晶】
◇前回に続いての挑戦も票伸びず−−宮内氏
前回(07年)に続いての挑戦となった宮内聡氏だったが、得票が伸びなかった。
前回の党公認から推薦に変えたほか、福祉重視の道政への転換を公約の中心に掲げ、幅広い層からの支持を狙った。東日本大震災後は脱原発や防災対策を中心に訴えたものの、共産支持層も固めきれなかった。【佐藤心哉】
◇敗戦にも笑顔で「満足いく戦い」−−鰹谷氏
政党に頼らない選挙戦を展開した鰹谷忠氏は一定の支持を得たものの、及ばなかった。1年半前に出馬表明。森林や水資源をいかした活性化策を地道に訴えてきた。鰹谷氏は札幌市中央区の選挙事務所で、「満足のいく戦いができた。北海道の現状を憂いている方々の声を大切にし、今後は北海道発の地域政党を結党したい」と笑顔で語った。【佐藤心哉】
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■解説
◇両現職、3期目に大きな宿題
高橋はるみ氏と上田文雄氏の両現職が新人に大差をつけて3選した知事選と札幌市長選。毎日新聞・HBC共同出口調査によると、両氏に投票した有権者の4〜5割が「政策」を重視し、2割前後が「経歴・実績」で判断している。両氏の2期8年が評価された形だが、課題は山積している。両氏は3期目に大きな宿題を背負ったと言える。
「高橋道政の実績を挙げてといわれても思いつかない」。ある自民党道議はこぼす。5兆7000億円の借金を抱え、破綻手前の道財政に、冷え込んだままの景気・雇用状況、深刻な地方の医師不足……。評価された政策や実績は単なる「イメージ」に過ぎず、対立候補の木村俊昭氏の「高橋道政で道民所得が減った」という批判は当を得ていた。
高橋氏は公約で、東アジアとの交流促進による観光振興や農産物輸出などの経済対策を掲げた。医師不足も道内の医科大との協力で解消するとした。3期目の高橋道政がこれまでと同様にイメージ先行で終わるのか。北海道浮上の礎を作り、道民生活を向上させるのか。正念場を迎える。
一方、上田氏の姿勢も注目される。「市民自治」を掲げ、ごみ減量など一定の成果を上げた。しかし、以前は反対していた市中心部への自動車専用道路建設を一転して容認した。3選へ向け経済界と関係を改善するのが狙いだ。経済界からは今後、要望が増えるだろう。上田氏がどう対応するのかによって、上田市政の本質が見えてくる。【和田浩幸】
4月11日朝刊
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